九州・山口 医療問題研究会
福岡県弁護団

当弁護団について

私たちは、「医療事故」が起きたときに、その原因を明らかにしたい、誤りがあれば真摯に謝罪してもらいたい、そして、再び同じような事故が起きないようにしてほしい、と願う方々から相談を受け、依頼があれば調査をし、必要があれば医療過誤裁判をお受けすることを中心的な活動としている弁護士のグループです。

私たちが健康に生きていくためには、欠かすことのできない医療。
けれど、それはときに健康被害を引き起こすことがあります。
ご自身が、あるいは大切な家族が、よかれと思って受けた医療で、傷つき、あるいは家族の尊い命が失われたとき、どうすればよいのでしょうか。
まず、分かっていただきたいのは、患者の健康や命が損なわれたとき、辛い思いをするのは、けっして患者や家族の側だけではないということです。
医療に携わっているお医者さん、看護師さん、薬剤師さん…、みなさん、患者が健康になり、その人らしい豊かな人生を歩んでいかれることを願っています。
そのためにこそ医療という難しい場にとどまって、ともすれば過酷な労働環境の中、医療を提供している医療者もまた、医療事故という悪しき結果が患者さんに生じた時、深く傷つき、つらい思いをしているのです。

医療事故が起きた時、そこに「過失」が認められ、それによって「損害」が生じたと証明されるとき、医療側はそれによって患者が被った損害を「賠償」すべき責任が生まれます。
それは、現実的には、現実に生じてしまった「被害」を、誰が負担すべきなのかという問題ですが、「過失」があるか、つまり、医療機関が「責任」を負うかどうかを丁寧に調べ、経過を明らかにすることは、次に同じような事故を生じないようにするため、再発防止のために、とても大切で、有用なことです。

生じてしまった医療事故に学び、「再発防止」のために有効な取り組みを提言する。それは、まぎれもなく医療者にとっても望ましいことです。
もちろん、裁判という医療とは本来無縁な場で行われる論争や証拠調べによって、はたして、医療者のみなさんが納得できるような事実究明、そして再発防止につながる結論が導き出されるのかも、真の「再発防止」のためには重要な問題です。
私たちは、「医療を患者にとって安全なものにしたい」という、医療者にも患者にも共通するこの願いに沿うような、患者側での弁護活動を心がけたいと思っています。

そのためには、医学的には素人である患者側弁護士として、誠実に事案に向き合い、医療者にも納得できる解決につなげることができるように、私たち自身が研鑽を積まないといけないと思っています。

そうした活動が可能になるよう、私たちは、定期的に集い、学習会や事例の相互検討を行っています。依頼者にとっても、相手方である医療機関にとっても、真摯に事案に向き合い、生じた不幸を、明日につながる果実へと変えるために、できることをしたい、そう思っています。

私たちは思いもかけず医療事故に遇います。その被害は、いずれも深刻で複雑、しかも多様です。

たとえば産科事故。大いなる喜びに包まれるはず人々が、たちまち絶望の淵に追いやられます。新しい命は失われ、あるいは、やっと持ちこたえた小さな命の生に重大な困難を担わせます。なにげなく使ってしまう「五体満足が一番」という言葉さえ、母であり父となる人の心をえぐります。「何でこんなことになったの」という無邪気な問いは、困り果てた人々へのするどい刃物となります。

医療被害がどのように深刻であっても、その回復の助けになりたいと思います。私たちのできることは限られています。医療被害を法的にとらえ、適正な解決を図ることです。それでもなお、医療被害者の方々みずからが、やがて被害からの回復を成し遂げて、その人にふさわしい人生を歩きはじめる。そのためにこそ、私たちは真剣に手を尽くしたいと思います。

相談にこられた方々の医療被害を謙虚におうかがいいたします。おひとりおひとりの尊厳をもっとも大切にします。協力医と研鑽をつみながら医療の専門性を探求します。医療問題の専門弁護士として技量を高め、最善の法的手段を誠実に実行します。いつも医療被害者のそばに立ちます。その方々の視点から、患者の権利を守り、医療の安全や医療事故の再発防止を、たゆみなく社会にも医療機関にも求めてゆきます。

私たちが心から望む仕事が達成できますように、皆様のご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

九州・山口医療問題研究会 福岡県弁護団
代表 弁護士 八尋光秀

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